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執筆者の写真くるみ 朝倉

あの日

まだ明るいお風呂に入って

エアコンで冷えた部屋と浮ついた化粧品の匂い

砂糖を混ぜた辛いカレーライス

ベランダから無花果の葉の匂い


あの頃あんなに大きかった景色が

今ではとても小さく見えた

きっとこの街でこれからも生きていくんだろう


覚えていますか?

裏の公園に響く笑い声

夏のお祭りの光る腕輪

自転車で帰った河川敷


澄み切った青い夏の匂い

橋の上の風は強く 坂の多いこの街

あなたと二人歩いた通りは

どこかの家の石けんの匂い


思い返すと今までの私全てが

キレイなものばかりじゃないけれど

それも全てわたしだと胸を張れるように


覚えていますか?

あの神社で雨宿りしたこと

こっそり抜け出した夜風の匂い

一緒に食べた志゛まんやきの味


知っていますか?

見下ろす景色が輝いていること

言えずにいたけど

私、ほんとは

ずっとふたりでいたかった。こと

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